シネマ感覚思考 / cinema-feel-think

1つの記事内に基本、映画紹介パートと、ネタバレありパートに分けて記載しています。お見知り置きくださいませ。



映画感想:『スパイダーマン: スパイダーバース』

 

 

 

 

 

 

You can be a Spidey too.

 

 

 

 

 

 


『スパイダーマン: スパイダーバース』
原題:Spider-Man: Into the Spider-Verse

 

 

 

 

 

 

あらすじ
  ここは、スパイダーマンがいる世界。マイルス・モラレスは、ひとり、生まれた地区を離れて、寮制の中学へ通っている。育ちの違いを感じ、学校の雰囲気に馴染めないマイルスは、時々寮を抜け出して、理解者の叔父の家へと遊びに行く。ある日、叔父と共にグラフィティ・アートを描きに行った場所で、マイルスは"あの蜘蛛"と出会ってしまうー。

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感想
  こうして、世界は更新されていくんだなと、実感しました。控えめに言って最高でした。まだこの現実を見捨てないでいられる、そんな気持ちにさせてくれた作品です。
  "ヒーロー"という、"スパイダーマン"という、アイコンの持つ素晴らしさは、エンパワメント、観ている人を勇気づけてけくれるパワーにあると思います。この作品は、そのパワーに満ち満ちた、今を生きる人へ向けた作品になっていました。このパワーが、子どもから大人まで、全ての人に届いて欲しいなと思います。
  もちろん劇中、スパイダーマンの軽口コメディは止まりませんよ。むしろ、コメディはとんでもない域までいっちゃってます。笑。

  これまでの映画作品とは別の、独立した作品ですので、この作品が初めてのスパイダーマンという方にも、めちゃくちゃおすすめです! 祝、アカデミー賞「長編アニメ賞」!!

 

 


全ての人に観て欲しい!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、ネタバレを含みます↓↓↓

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ感想

 


  誰でもマスクを被ることができるって事が伝わったらいい、伝わってましたよ。その通りでした。君もヒーローになれるんだって、人種も性別も年齢も時代も関係ないんだって、画面を超えて語りかけられているようでした。そのメッセージと、スタン・リーの言葉に涙、涙、そして、エンドクレジットの遊び心に笑わせられて、ずっと、感情が揺れ動かされまくってました。

 

  キャラクター1人1人、ヴィラン、敵役含め、出て来るたびに笑顔になって観ていました。『ヴェノム』のエンドクレジットでマイルスが登場して以来、2代目スパイダーマンをどう描くのだろうと、多次元からやってくるスパイディ達をどう描くのだろうと、4ヶ月とても楽しみに待った甲斐がありました。

  2代目スパイダーマン、マイルスを取り巻くアフリカ系アメリカ人のカルチャーが本作の大きな要素となっていたりと、様々な要素がさりげなく、しかし的確かつ秀逸に描写されている本作ですが、その大きな特徴の1つに、女性キャラクターの"STEM"(Science, Technology, Engineering and Mathematics、いわゆる理系)要素が挙げられると思います。


  現実に、STEM分野における男女比率の不均衡が存在するのですが、これに関して各  国で是正を進めていこうと、女性へのSTEM分野への支援が行われています。これまで、作品に登場する研究員や博士は、年配の男性である事が多かったのですが、現実の変化に呼応して、表現分野では近年STEMに関わる女性キャラクターがだんだんと多くなっていたり、主題に取り上げられるようになってきています。その代表的な近年の傑作に、NASA発展におけるアフリカ系女性の、今まで描かれてこなかった活躍を描く『ドリーム』(原題:Hidden Figures)があったりします。


  本作では、別次元のピーターが研究所の所長を男性だと思い込み、女性への偏見に言及するシーンを意図的に盛り込んだりと、的確にその固定観念を変えるような描写が行われています。そして、その所長が『スパイダーマン2』に登場するヴィラン、DR.オクトパスであるというサプライズも楽しいものでした。ちなみに、男性が多かったヴィランに対して、近年の映画作品では女性ヴィランがだんだんと増加傾向にあるなと感じています。
  メイおばさんが基地を管理したり、蜘蛛の糸を飛ばすウェブシューターを作ったり、ペニー・パーカーはそのまんまメカを操っていますし、一瞬だけの描写ですが恐らくマイルスの母親は医師のようです。それぞれがSTEMの分野で活躍し、グウェンのように分かりやすく戦闘でもそれぞれが活躍しています。メイおばさんも戦ってましたね。それらの描写が非常に良かったです。この作品を観た子どもは、STEMに関わる職業のロールモデルを思い浮かべた時に、年配の男性に偏って思い浮かべる事はないのではないでしょうか。非常に意義がある事だと思います。

 

 

 

演出についての雑記

  ここからは、本作の気になった演出についての雑記です。面白かったところを挙げていったらきりがないので、気になったところだけ抜粋です。

 

・グウェンが最初名前を隠すために、アフリカ系、南アフリカ系なのと誤魔化すくだりは秀逸でした。何重にもかかる意味の渋滞がとても面白く、的確なギャグでした。

 

・ノワールがモノクロ世界の住人故に、ルービックキューブの色を認識できないというギャグ、短い描写で分かりやすくキャラクター説明をしており、とても上手かったです。群像劇なため、作品を通して、短い時間でキャラクターを際立たせなければいけないという制約の中、それぞれとても上手く描写していたと思います。そして、元の世界に戻ったノワールがルービックキューブを解くシーン、何でもない描写かもしれませんが、できないと思われた事が出来るようになる、その姿を見せられた気がして、感動してしまいました。こういった小さなところにもエンパワメントが満ち満ちている作品だと思います。


・ペニーが出てきたときは、作品が成立するのかどうか不安になるぐらいの衝撃を覚えましたが、コメディリリーフに寄るわけでもなく、あのまんまでペニーは自身をずっとやり通し、蜘蛛との信頼、女子高校生?がマシンを操る姿に、君はそのままでいていいんだよと、画面越しに言われた気がしています。良い存在感でした。

 

・極め付けのスパイダー・ハムの登場もたまらなかったです。さすがに存在といい、フォルムといい、コメディリリーフを引き受けてきましたが、ラストバトルでの一言、"コミックなめんな"にやられてしまいました。最高の一言でした。ハムにもしっかりとした芯を与える本作、非常に信頼できます。


・マイルスとグウェンは最終的に距離が詰まりますが、キスではなく、友達として、握手をします。絶妙な間を入れている事から、意図的な演出なのだと思います。ハリウッドのロマンス主義を打破している点、非常に評価できるものだと思います。そんなものではないぞと。
  また、入れなくてもいいMJのソバカスを描いたりと、lookの点にも配慮がしてあるという全方位ぶり、素晴らしいと思います。

 

・終盤マイルスが自分用にスーツをスプレーでリアレンジするシークエンス、自分なりにスーツは作れるんだと、誰でもマスクはアレンジできるんだと体現している、とても良い場面でした。絵柄も象徴的で、スーツの手のひらの部分にスプレーが広がった感じのある、手製のスーツ表現の細かさには感服です。

 

・声優陣をキャラクターの人種に合わせたキャスティングをしている本作、それが当然だという態度が垣間見えて嬉しい限りです。アーロンおじさんを『グリーンブック』などのマハーシャラ・アリが演じていたり、初代スパイダーマンを"スター・トレック"などのクリス・パインが演じているなど、気持ちが高まり、想像が膨らむ面々ですね。

 

・内容に突っ込みたいところもあります。しかし、それを上回って有り余るほどの工夫とメッセージが詰まった作品でした。

 

 

 

 


スパイダーマン映画化まとめ

  本作までに2度のリブート、再起動を経ている映画スパイダーマン。今となっては、どれがどれだか、中々分かりづらくなっている気がするので、おさらいとして簡単にまとめてみました。参考になれば幸いです。

 

 

◯"スパイダーマン・トリロジー"

初の実写化
『スパイダーマン』(2002)


サム・ライミ監督×トビー・マグワイア主演

 

Dr.オクトパス登場
『スパイダーマン2』(2004) 
サム・ライミ監督×トビー・マグワイア主演

 

ヴェノム初実写化
『スパイダーマン3』(2007)


サム・ライミ監督×トビー・マグワイア主演

 

 

◯"アメイジング二部作"

設定を変更して挑んだリブート
『アメイジング・スパイダーマン』(2012)


マーク・ウェブ監督×アンドリュー・ガーフィールド主演

 

三作目の構想まであったものの最終作に
『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)


マーク・ウェブ監督×アンドリュー・ガーフィールド主演

 


◯"MCUスパイダーマン"

新たにMCUアベンジャーズに初参戦
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)

 

MCU単独作
『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)


主演トム・ホランド

 

MCUの大転換点
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)

 

 

◯"スパイダーマン・スピンオフ"

 MCUとは別の世界線のスピンオフ
『ヴェノム』(2018)

 

 

マルチバースのスパイディの共演
『スパイダーマン: スパイダーバース』(2019)

 

 

本作以降も関連作が続々と控えております。また、世界が更新されていくのを楽しみにしています。

 

 


スパイダーマン・トリビア

  私は、アメコミヒーローは出来るだけ映画のユニバースで楽しみたい派で、原作コミックは出来るだけ読まないようにしています。そんな私が知っている範囲でトリビア的な事を書き綴ってみました。本作は、スパイダーマンに馴染みがなくても楽しめると思いますが、さらに背景を知っているとよりディープに想像して楽しめる要素が満載だと思います。

 

 

・今回登場するヴィランは、最初の実写映画『スパイダーマン』に登場したグリーンゴブリン、『スパイダーマン2』からDr.オクトパスが登場。その他のヴィラン、キング・ピン、プラウラー、スコーピオン、トゥームストーンは映画作品としては初登場です。中でも、大ボス感のあるキング・ピンの登場には気持ちが上がりました。これらが、今後実写映画に登場する事があるのかとか考えるだけで楽しいです。

 

 

・スパイディ側からは、総勢9人のスパイディが登場。


"初代スパイダーマン"ことピーター・パーカー
"2代目スパイダーマン"ことマイルス・モラレス
"アメイジング・スパイダーマン"ことピーター・B・パーカー
"スパイダー・グウェン"ことグウェン・ステーシー
"スパイダーマン・ノワール"
"ペニー・パーカー"
"スパイダー・ハム"ことピーター・ポーカー


  初代は身体能力として、蜘蛛の糸を自分で生成できるのですが、アメイジングは、ウェブシューターと言われる機械を身に付けて、蜘蛛の糸を飛ばしたりしています。映画『アメイジング・スパイダーマン』や『スパイダーマン:ホームカミング』と、初の実写映画『スパイダーマン』との違いですね。
  また、全てのスパイディの頭の上に立つアンテナは"スパイダーセンス"という危険を察知するスパイディの能力です。実写ではなかなか描写が難しい能力ですが、アニメだとああいう風に描けるのは良いですね。
  そして、オマケとしてエンドクレジットで、未来のスパイディ"スパイダーマン2099"と初期コミックの中のスパイダーマンが登場し、邂逅、指の差し合い、最高でした。

 

・ちなみにコミックのスパイダーマンがいたのは"アース67"。それぞれのスパイダーマンがいる次元を"アース???"という風に呼んでいるのです。他のマーベル・コミックスでもよく使われる設定です。

 

 

・マイルスの名前が映画に出てくるのは実は2度目です。姿は現しませんが、『スパイダーマン:ホームカミング』にて、おじさんであるアーロン・デイヴィスが登場しており、会話の中でマイルスという甥がいる事が示されます。ちなみにホームカミングでは、アーロンはプロウラーにはなっていません。ただ、ホームカミングのスパイダーマンが16歳、本作のスパイダーマンが26歳だった事を考えると、間の10年でアーロンはプロウラーの道を歩み始めるのでしょうか、などと考えると切なくもあり、想像が膨らみます、

 

 

・マーベル・コミックスを原作とする映画作品に数々カメオ出演してきたスタン・リー御大。スパイダーマンの誕生は御大がいてこそ、でした。2018年11月12日に死去されてからの御大の今回の登場には、グッときてしまいました。作品途中の出演に涙ぐみ、ラストのメッセージで涙。実感がなかったその死を、受け止めるにはまだ時間がかかりそうです。集大成となるであろう『アベンジャーズ/エンドゲーム』に出演が間に合ったのは本当に良かった。もう一度お会いできるのが嬉しく、また寂しくもあります。

 

 

 

 

関連リンク

↓本作の絵柄についての詳しい考察

 

 

 

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以上、『スパイダーマン: スパイダーバース』感想でした。ありがとうございました。

 

 

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