シネマ感覚思考 / cinema-feel-think

1つの記事内に基本、映画紹介パートと、ネタバレありパートに分けて記載しています。お見知り置きくださいませ。



シネマ感覚思考的2018年ベスト10本

 

 

 

  2018年が終わりを迎えるという事で、シネマ感覚思考的、今年の映画ベスト10本を書き綴りたいと思います!

 

 

  今年劇場で観た映画は、100本越えで、DVDなどを合わせると140本ほどでしょうか。今年は恐らく人生で最多の本数を映画館で観ました。


  それで思ったことは、大変だけど!楽しいけど!大変!でした。とは言っても、本数では上には上がいすぎますから、またまだと言われてしまう気がします。そして、何より観きれなかった作品の多いこと、多いこと。観たいと思った作品すら観きれない状況は嬉しい悲鳴ですね。


  そんな劇場で観た新作映画の中から、2018年のベスト映画10本を選んでみました。

 

  発表の前に、これだけは言っておきたいです。10本になんか絞れる訳がない!日によって、体調によって、ベスト映画は変わるもの!それでも、書き綴りたいというこの業をご覧ください!ちなみに順位は付けておりません、公開日順でどうぞ!

 

 

 

 

 

 


『否定と肯定』

 

 

 


『スリー・ビルボード』

 

 

 


『シェイプ・オブ・ウォーター』

 

 

 


『ザ・スクエア 思いやりの聖域』

 

 

 


『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』

 

 

 


『ラジオ・コバニ』

 

 

 


『最初で最後のキス』

 

 

 


『万引き家族』

 

 

 


『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』

 

 

 


『堕ちた希望』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"特別賞!?"
『ブラックパンサー』
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

 

 

 

 

 

 

 

 


『否定と肯定』

 


12/8公開
  ホロコーストはなかったと言い張る人間が起こした、実際の裁判を題材とした秀作。昨今の歴史修正主義に通じる、ホロコースト否認論者のアーヴィングの論法。それには頭を抱えたくなるようなものですが、その論法を確実に論破するため、ホロコーストの被害者へ攻撃をさせないために、適切な手段と手順で裁判に向かう歴史学者リップシュタットと弁護士の姿に大変勇気付けられます。

  吹っかけられた側に、誤認を解くための多大なコストがかかってしまう訳ですが、事実の歪曲の放置はやはり問題です。歪曲への適切な対応は、歪曲する側に効果的な影響を与える事が出来ますし、その経過を通して、事実の認知を改めて行う事にもなるのではないでしょうか。映画的な演出も細かくなされている本作、リップシュタットが弁護士に傘を預ける場面は、弁護団に信頼を預けるような場面に映りました。

 

 


『スリー・ビルボード』


2/1公開
【なぜ?ウィロビー署長 】
【犯人逮捕はまだ?】
【レイプされて死亡】
  焼死体となって発見されたティーンエイジャーの母親が掲げた看板を発端に、小さな町という縮図の中で起こる騒動の果て。
  名指しで指名された警察署長や署員、広告屋、家族が織り成す物語は圧巻です。今年のベストオブベストです。それぞれの抱えざるをえなくなった背景に、それぞれのやり方で対峙する姿には危うさがありますが、この作品が最後に提示するものに、私は未来を感じます。

  2018年のアカデミー賞では、この作品と『シェイプ・オブ・ウォーター』が競る事になりましたが、図らずもこの2作品に通底するメッセージは共通のものだったと思います。その意味で、この作品のラストは『シェイプ・オブ・ウォーター』の一歩先を行った作品になったかなと思っています。

 

 

 

『シェイプ・オブ・ウォーター』


3/1公開
  掃除人として働くイライザは、言葉を発せないながらも、アフリカ系の同僚ゼルダや、同居人でゲイのジャイルズと共に日々ささやかな充足を得ていた。そんなある日の出会いによって、イライザの日常が色づいていく。
  ハンディがある中年女性の、見事なラブストーリーと、抑圧に呑まれないというイライザの人物像はとても良かったです。この映画は、性、人種、年齢、障がい、外見に関して演出が盛り込まれている稀有な作品でもあります。それでいて、水に浮かんでいるような心地よさを感じさせる、人々の連帯を感じさせるものになっていました。

  作品のラストで、敵対していた人物に対する扱いに、私は『スリー・ビルボード』との差をあえて付けましたが、映画でしか描けない展開も映画の醍醐味ですので、これはこれで、とも思っています。良い作品です。

 

 

 

 

『ザ・スクエア 思いやりの聖域』


4/28公開
  オープニングから始まるユーモアな映像と、不思議な音に、これから間違いなく面白い作品が観られる!と、とても気持ちが上がった作品でした。そして、その気持ちが裏切られる事なく、ブラックなユーモアに満ち満ちた傑作でした。
  とある美術館のキュレーターが起こす騒動とその周辺を描いた作品。他人が助けを求めている時、自分以外に傍観者がいる場合、率先して行動を起こさないという心理学の"傍観者効果"を軸に話が展開していきます。そして、現代のネット社会で起きている情報の拡散と炎上を、即物的に具体化して映像への落とし込みに見事に成功しています。そこに、広がり続ける貧富の差を混ぜ込むという、てんこ盛りの内容でありながら、映像的に内容をすとんと頭に入れて理解できる、そんな離れ業を体験できる作品です。面白い。

 

 

 

 

 

『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』


5/4公開
  フェイクかトゥルースか、近年、問題として取り沙汰される事が多いこの事象を、トーニャ・ハーディングという女性の半生を通して、描き出した作品だと思います。ホワイト・トラッシュに生まれて、フィギュア・スケーターとしてやり遂げようとしたトーニャが、なぜライバル選手の暴力事件に紐づけられたのか。四半世紀前の事件を中心に置いて、関係者各位の立場からの証言をそれぞれ映像化し、フェイクとトゥルースのごちゃ混ぜを観客に提示してきます。その中で立ち現れてくるのは、環境に翻弄されながらも、自身の力でやり遂げようとするトーニャの姿、それをマーゴット・ロビーが渾身の演技で映像的に見せつけるスケート・シーンは見事でした。

  そして、ライバル選手を襲うあの人が、フェイクじゃないというトゥルースにも驚愕。

 

 

 

 

 

『ラジオ・コバニ』


5/12公開
  ISとの戦闘によって破壊されたシリア北部の街、コバニで、街の情報を伝えるために元大学生が自分たちでラジオ局を立ち上げた。本作は、電波に乗せて語りかけるディロバンの姿に寄り添いながら、コバニの復興、クルド人部隊とISとの戦闘といった現実に迫っていくドキュメンタリー。
  中東情勢のニュースではショックな映像に触れる事はありません。その点、この映画は正視に耐えない部分と向き合わせられるものでした。この映画には焼け焦げたと思われるご遺体が数分の間映し出されます。街の再建のために、どけられるその生々しい姿の横で、子どもがその様子を眺めています。監督はこれが現実であり、この状況を考えてもらいたかったそうです。戦争は根源的にダメなものだという事を、まざまざと体感した事が強く印象に残っています。



 

 

 

『最初で最後のキス』



6/2公開
  高校でのはぐれ者3人が、お互いの好意と友情で高校生活を満ち足りたものにしようとする、ポップで楽しくも、とても胸に突き刺さるイタリアからの作品。

  「ハイスクール・ミュージカル」に憧れるゲイの転校生、兄を亡くし繊細な感性の持ち主のバスケ部員、周りからビッチと呼ばれる高校生、3人の関わり合いと現実を超えるイメージ映像は観ていてとても微笑ましいです。一方で、3人が抱えてしまった背景が分かり出す後半の展開には胸が締め付けられました。

  この3人だけでなく、それぞれの親の描き方がとても良く、丁寧に描かれています。子どもに寄り添う親、子どもに気遣いされる親、子どもを導こうとする親が3人にあたえるものに、思い当たる節がある人は多いのではないでしょうか。

  自分自身を大切にするためにはどうしたら良かったのか、考えさせられます。

 

 

 

 

 

 

『万引き家族』


6/8公開
  その日暮らしで何とか毎日を過ごす一家にとって、万引きは繋がりを強め、生活の糧になっている。真冬のある日、ベランダでひとり子どもが立ち尽くしているのを見て、その子を家に連れてきてしまう。
  家族に対する幻想を、どこまでもグレーに描いていく本作。現代の日本社会の状況を鋭く風刺し、かつそれが世界でも評価される現状に、頭を抱えたくなるものの、鑑賞後にはこの作品が伝える静かな、しかし確かな余韻が残ります。どの人物も絶妙なバランスと、リアリティを内包し、それぞれが抱えざるを得なかった、この家族になるしかなかった背景を伝えてくれます。

  この状態になるまでに福祉の手はこの家族に伸びるべきだったし、福祉に頼る事ができる状態であるべきでした。それはそのまま、今の社会に当てはまるのです。

 

 

 

 

 

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』


7/6公開
  女性と男性の対立を、フィジカルで見せようとする試みがかつて行われた。1973年当時、女性テニスプレーヤーのトップであった29歳のビリー・ジーン・キングと、かつて男性テニスプレーヤーのトップでシニア選手として活動する55歳のボビー・リッグスがエキシビションとして行った試合をを題材に描いた作品。
  女性選手のプロリーグ独立から描く事で、当時の社会がいかに男性主観で動いていたかが炙り出されます。この作品で描かれる当時の男性主観の行為にどれだけ気づく事ができるかが、観る人のバランス感覚を測る試金石にもなるのではないでしょうか。

  行われるエキシビションは、1プレイヤー同士の素晴らしい動きのある対決です。スポーツには心打たれるものがあります。性は対立するものではないのです。LGBTQもそうでしょう。

 

 

 

 


『堕ちた希望』


10/26上映
  第31回東京国際映画祭コンペティション部門にて上映された作品です。
詳しい感想はこちらに↓↓


  思いがけないところで、オールタイムベスト級の作品と出会ってしまいました。とても良い出会いだったのですが、現状まだ劇場公開が決まっていないため、今後観られる機会があるのか分からない状態です。配給会社さんには、是非とも買い付けをして頂きたいです。お願いします。
  希望に纏わるテーマを描いた作品として、この上なく素晴らしいと思っています。抽象化して見た時の普遍性は、歴代名作に並ぶのではないかと思っています。売春という重さがあるテーマを扱っていますが、音楽と映像的演出で重量のバランスが取れた作品だと思っています。本当に劇場公開して欲しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

  そして、これは別枠として扱いたいという事で、この2本を"特別賞"として選ばせてもらいました。

 

"特別賞!?"
『ブラックパンサー』
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』


  両作とも、アメリカのコミック会社マーベルが生み出したヒーローの実写化シリーズで、その18作目と、19作目になります。私はこのシリーズをずっと追いかけているのですが、ここに来てこんなにも衝撃を与えてくれる作品が来るとは、喜びと悲哀に満ち満ちた作品でした。
  『ブラック・パンサー』の何と多幸感に溢れた世界観作りでしょうか。最高です。できるだけ、このシリーズで味わいたいために、原作コミックを読まないようにしているので、初見時の高揚感は凄かったです。それでいて、アメリカ社会に対して強いメッセージを発するこの作品の姿勢に感服しました。
  そして、10年に渡るシリーズの総決算の前半にあたる『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』では、これまで登場したヒーローが数十人登場しながら、混線する事なく展開するだけでも凄い事なのに、まさかのシフトが起こるというストーリーにやられてしまいました。1日ずっと放心していた記憶があります。
  シリーズの総決算の結末がどこになるのか、怖くもありますが、期待してしまっている自分もいます。次回はシリーズ初の単独で名を冠した女性ヒーロー『キャプテン・マーベル』ですね。

 

 

 

 

 

 

総評


  10本選んでみましたが、もっとあれもこれもという感じは否めません。今年のベスト級はもっといっぱいあるのです。ただ、雑感として、今年の前半で既にベストがかなり出てしまっていたという感覚はあります。後半も粒揃いの映画だらけではあったのですが。結果として、現代の世相にリンクした、地続きな映画群になったなと思います。
  私の観る映画がかなり外国映画に偏っているため、日本映画を観た本数自体かなり少ないです。その偏りは悪しからず。そして、評判高くてもタイミングが合わず観に行けていない作品ばかりです。その辺も悪しからず。楽しんで頂けたならば幸いです。

 

 

 

 

 

 

パッケージ紹介

  Amazonビデオで楽しみたい方は、各タイトルの画像がリンクになっていますので、クリックして詳細ページへお飛びくださいませ。

 

『否定と肯定』

≪BD≫                  ≪DVD≫

 

 

『スリー・ビルボード』

≪BD&DVDセット≫

 

≪BD≫                  ≪DVD≫

 

 

『シェイプ・オブ・ウォーター』

≪BD&DVDセット≫

 

≪BD≫                  ≪DVD≫

 

 

『ザ・スクエア 思いやりの聖域』

≪BD≫                  ≪DVD≫

 

 

『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』

≪BD≫                  ≪DVD≫

 

 

『最初で最後のキス』

≪DVD≫

 

 

『万引き家族』

≪BD≫                  ≪DVD≫

 

 

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』

≪BD&DVDセット≫

 

 

『ブラックパンサー』

≪BD&DVDセットMovieNEX≫

 

 

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

≪BD&DVDセットMovieNEX≫

 

 

 

 

 

 

以上、シネマ感覚思考的2018年のベスト10本+αでした。ありがとうございました。