シネマ感覚思考 / cinema-feel-think

1つの記事内に基本、映画紹介パートと、ネタバレありパートに分けて記載しています。お見知り置きくださいませ。



映画感想:『詩人』

 

 

 

 

 

前時代的

 

 

 

 

 

 


『詩人』
英題:The Poet
原題:诗人

 

 

 

 


あらすじ
  場所は中国、1980年代〜1990年代初頭の炭鉱。社会主義体制下で炭鉱で働きながら詩を書くリー・ウーと工場で働きながらリー・ウーを想って世話するフイの夫婦。リー・ウーは文芸誌に詩が掲載されたことで、炭鉱全体から評価される。リー・ウーのためにフイが取った行動で2人の関係に変化が生じてゆく。そして、時代が移ろう。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

感想
  東京国際映画祭コンペティション部門出品作品。
  題材としてはありだったと思います。当たり前ですが、その題材をどう作品として良いものにしていくのかというのが、作品作りのポイントでしょう。映画というメディアは一定の影響を観客に与えるものです。だからこそ、注意深く作り上げなければ。映画を作る方々には、今の時代に届くような作品作りをしてほしいです。前時代的なものを再生産するよりも、現代と地続きにする作品を私は支持したいと思います。

 

 

 

 

 

 

観なくて良いかも!!

 

 

 

 

 

 

 


以下、ネタバレを含みます。↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ感想

 

  中国の社会主義体制の移ろいと共に、ある夫婦のすれ違いを描くというアイデアは題材として、ありだとは思います。しかし、その中に埋め込まれた工夫を、私はあまり感じませんでした。

 

  物語の中核となるリー・ウーとフイの夫婦関係も新鮮さは感じられず、フイがリー・ウーに人知れず最後まで尽くすという姿そのものにも、前時代的な感覚を覚えました。実際、描かれるフイの姿には性別役割分業が色濃く残っていましたし、すれ違いの原因ともなるコミュニケーション不足もそうでしょう。何故、フイはリー・ウーに説明しないのか。夫を妻がたてるため?フイの気持ちが分かりませんでした。前時代を描いた作品なのだからそれでいいという意見があるかもしれませんが、この作品を現在作る事の意義や、このコンペに選んだ意義が必要だと思います。

 

  監督が仰っていた事ですが、2人を引き離したのは何故かという問いに対して、物語の必要のためという回答をしていました。その回答に、2人のすれ違いがご都合主義にしか感じなかった事に合点がいきました。「社会の底辺で一生懸命生きる庶民の話」には感じられませんでした。
  また、フイを演じた役者さんが、「女性というのは生まれながらにして母性を持っている」という事を人づてに聞いたと仰っていました。そんなわけありません。もう一度言います。そんなわけありません。リー・ウーを演じた役者さんと2人で壇上に上がられたのですが、かなりワーキャーと声援が飛び交っていました。そんな中で、この考えを紹介されていたことに、危機感を覚えました。

 

「社会の底辺で一生懸命生きる庶民の話を作りたかった」10/27(土):Q&A『詩人』|第31回東京国際映画祭


  こちらのQ&Aの最初のQには、明確な誤りがあるので、指摘しておきます。


「新居はウイグル自治区でしょうか?」という箇所は、
「舞台の場所は新疆ウイグル自治区でしょうか?」
で、それに対する監督の回答は、
「ロケ地は新疆ウイグル自治区だが、劇中の舞台は特定の場所を意図していない」
といった回答でしょう。

 

 

 

 


演出についての雑記

 

以下は、本作の気になった演出についての雑記です。

 

・炭鉱のシーンでは、青が基調とされていたような気がします。

 

・劇伴のなさは、この作品においては、逆にノイズだった気がします。音楽をもっと劇中にのせても良かったのではと思いました。

 

 

 

以上、『詩人』感想でした。ありがとうございました。