シネマ感覚思考 / cinema-feel-think

1つの記事内に基本、映画紹介パートと、ネタバレありパートに分けて記載しています。お見知り置きくださいませ。



映画感想:『翳りゆく父』

 

 

 

 

 

ギィィィィ、、

 

 

 

 

『翳りゆく父』
英題:The Father's Shadow
原題:A Sombra Do Pai

 

 

 


あらすじ
  ダルヴァは父ジョルジュの様子を気にかけている。母が死んでからというもの、ジョルジュの様子が変わった。何かが違う。多感なダルヴァにとって、おまじないや呪術は現実の一部だ。実際に、叔母のためのまじないも成功したし。父はまじないを信じてないけど。父のためにまじないをしようかな。そしたら、死んだ母にも、、。

 

 

 

 

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感想
  第31回東京国際映画祭コンペティション部門出品作品。
  冒頭から連続する死の予感、主人公ダルヴァの幼いながらの鋭い目つき、全編を通じて感じる影、この先何が起きるのかと、見入っていました。
  とても完成度の高い作品だと思います。ホラー好きな人にとっては、一個一個のモチーフに心くすぐられる事でしょう。ダルヴァ、ジョルジュ役の方のはまり具合は相当よいです。ダルヴァの目つきが特によい。現実と異界の狭間でダルヴァがジョルジュにしてあげる事、映画の先が気になりますね。一見の価値ありだと思います。

 

 

 


観ても良いかも!!!
(ホラー好きな方、おすすめです!!!!)

 

 

 

 

以下、ネタバレを含みます↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ネタバレ感想


  ダルヴァの視点から見た父親が抑うつになっていく話に、まじないを織り交ぜて描くのかと思いきや、ダルヴァが行う呪術的なまじないは、ことごとく成功してしまうため、リアリティラインが混乱し、だんだんと作品に見入っていきました。冒頭の人形、墓を砕くハンマー、母の形見、呪術といった連続する死の予感による掴みにもがっしりと掴まれていましたが。
  呪術的な部分を除けば、妻の死に続いて同僚の自死を目にしたジョルジュが、次第に抑うつ傾向を示すようになり、子どもとコミュニケーションが取れなくなっていく物語だと思います。が、ダルヴァが行う呪術、叔母の恋愛成就、コックリさん的なもの、母の形見から育つ植物など、が成功していく、それが現実に影響を与えていくことを考えると、ジョルジュの見ていた溶接工マスク怪人のリアリティラインも分からなくなってきます。という事は、ダルヴァがお祭りで同級生にかけた死の呪いも、、、。


  演出一つ一つの対応、火花と溶接工マスク、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』と母の蘇りなどしっかりしており、監督のやりたい事が分かる完成度の高い作品だと思いました。リアリティラインがわからない事で、次にどんな展開がくるのか予想がつかない、ひりひりした面白みがありました。ただ、怖さの面で言うとそれほど恐怖を感じる事はなかったなと思います。


  「私を愛した人を生き返らせて」ダルヴァの願いは切実で、文字通り死んだ母の復活と、変貌してしまった父が元に戻る事を望んだのでしょう。結末の先にジョルジュはどうなるのでしょうか。楽しめました。

 

 

 

 

 

 

 

演出についての雑記

  以下は本作の気になった演出についての雑記です。

 

・植物母ゾンビと父ゾンビが邂逅して暗転、エンドロールに画面が変わると、観客皆さんが一斉にゴソゴソと動き出すという、映画館ならではの感じが面白かったです。あれはゴソゴソしたくなりますよね。笑

 

・ダルヴァが劇中にTVで観ているホラー映画の要素、霊やゾンビなどが、劇中でだんだんと重なり出すあたり、面白かったです。

 

・劇中の音が効果的でした。ドアを閉める時の音など、音量が上げられており、ことさらに不気味さを醸し出してました。

 

・ジョルジュは、何とかダルヴァとコミュニケーションを取ろうとして、外出し、ブランコで遊ぼうとするものの、外から見ると危うさしか感じない構図になっていましたね。あれは怖いよ。どこか相談できるところにアクセスして欲しかったですね、、。

 

・ホラー演出に関しては、びっくりどっきり要素が強かったかもしれません。突然わっと現れて観客をびっくりさせるのは、ホラーで多い演出ですが、あれは怖いというより驚きの要素が大きいので、怖さが単発で終わってしまい、怖さが持続しないと思っています。

 

 ・今回の東京国際映画祭コンペティション部門で唯一の女性監督作品でした。ホラー映画好きな方の論理的な話は聞いていて面白いです。

 

 

 

以上、『翳りゆく父』感想でした。ありがとうございました。